いまさらだけど、マネジメントとリーダーシップはどう違う?

この会社に入ってもう10年。30名くらいの社員の中で僕もそろそろ中堅クラスに仲間入りするところに来ている。なんとなくこの会社に居続けてきたけれど、少しずついろいろな責任を負わされるようになってきた。

最近ではワンマンの社長が会社を改革すると盛んに言っている。「会社を改革するよりもまずは自分自身を改革しろよ」と心の中で静かに突っ込みながらも、下手に関わって火傷をしないように静かにしていようと決めている。触らぬ神に祟りなしだ。

でも火の粉は向こうからやってきた。何やら「マネジメント」とか「リーダーシップ」とか「イノベーション」とか、最近流行りのカタカナ言葉を耳にする機会が増えてきた。しかも、どうやら社長に次世代のリーダー候補として目をつけられたらしい。ついには「マネジメント・スキルを高め、リーダーシップを発揮して会社を改革する一員になってくれ」と社長から直接言われてしまった。その場は何とか取り繕ったけど、僕はそんな柄じゃない。「リーダーシップ」なんて求められたのは就職活動の時くらいだと思う。誰かの協力を仰いだり、指示命令をしたり、人を動かしたりすることは何となく苦手意識がある。

そもそもマネジメントとかリーダーシップって何なのだろう? どう違うのだろう?

何を求められているのかがはっきりしない中で過度に期待されてもこっちは混乱するだけだ。

こんな風に考える社員は少なからずいるのではないでしょうか。

会社内で昇格・昇進していくと求められてくるのが「マネジメント」「リーダーシップ」

今回はこれについてお伝えしていきます。

1.マネジメントとは

英単語をそのままカタカナにしただけでは分かりづらいので、英和辞書で「Management」を調べてみると、監督, 取り締まり, 経営, 管理, 経営者, 管理者, 経営管理, 運営力, 経営力などの言葉が並びます。(プログレッシブ英和中辞典より)
私の感覚では、経営に関して使われることと、管理に関して使われることが多い気がしています。

(1)経営としてのマネジメント

マネジメントが経営の意味で使われていれば、会社や事業を継続していくために行われることであればやること全てがマネジメントです。会社の事業目的や方針を決めたり、マーケティングや営業をしてお客様に商品・サービスを届けたり、製品を作ったりと。人事や経理なども大事です。これらを自分自身や社内の人間で分担して行うことで会社は運営されています。

経営学の大家P.F.ドラッカー氏の質問を借りれば、マネジメントは、次の質問の答えを考え、それを実行していくことです。

  • われわれのミッションは何か?
  • われわれの顧客は誰か?
  • 顧客にとっての価値は何か?
  • われわれにとっての成果は何か?
  • われわれの計画は何か?

自社のミッションに基づき、人・モノ・お金・情報という経営資源を計画的に使い、お客様へ価値を届け、自社にとっての成果を得ていく、これがマネジメントです。

(2)管理としてのマネジメント

マネジメントが管理の意味で使われていれば、担当範囲において方針や目標を定め、その目標を達成するために行われることがマネジメントです。

担当範囲において行われるということと、目標との差・乖離を埋めて、目標を達成するために行われるという意味合いがあります。

その担当範囲によって、経営管理(マネジメント)、営業管理(セールス・マネジメント)、製造管理(プロダクト・マネジメント)、人事管理(ヒューマンキャピタル・マネジメント)、資産管理(アセット・マネジメント)、経費管理(コスト・マネジメント)、知的資産管理(ナレッジ・マネジメント)、プロジェクト・マネジメントなどの言葉が使われています。
マネジメントの対象は、人だけではなく、モノやカネ、情報などの場合もあるのがリーダーシップと違いでもあると言えます。

2.リーダーシップとは

同じく英和辞書で「Leadership」を調べてみると、指導者の地位, 指導, 統率, 指揮, 指導力, 統率力などの言葉が並びます。(プログレッシブ英和中辞典より)
リーダーシップは、何かを達成する、何かを創造する、変化を創るなどのために人に影響を及ぼします。自らの直感を信じ、目指す成果に向けてリスクをとってでも自分が正しいこと思うことをしていきます。

かつてはリーダーシップというと、こんなイメージが強かったようです。

  • リーダーシップは、人を引っ張ったり、従わせたりする能力だ。
  • リーダーシップは、高い地位にある人にだけ必要なものだ。
  • リーダーシップは、カリスマ性のようなものであり、持って生まれた能力だ。

今ではこれらのイメージは過去のものとなり、サーバント・リーダーシップのように、人に奉仕し、支えていくことによるリーダーシップが重視されてきています。

リーダーシップという概念もいろいろな切り口で分類されており、サーバント・リーダーシップだけではなく、例えば「EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方」(ダニエル・ゴールマン、リチャード ボヤツィス、アニー マッキー著)によると、ビジョン型リーダーシップ、コーチ型リーダーシップ、民主型リーダーシップ、ペースセッター型リーダーシップ、強制型リーダーシップといったとらえ方もあります。

日本では、三隅二不二(みすみ じゅうじ)が1966年に提唱したPM理論も有名です。これは、リーダーシップを目標達成能力(Performance)と集団維持能力(Maintenance)の2つの能力要素で構成されるとし、その2つの能力の大小によって4つのリーダーシップタイプ(PM型、Pm型、pM型、pm型)を示しています。そして、PとMが共に高い状態(PM型)のリーダーシップが望ましいとしています。

また、「全ての人がリーダーである」(Everyone is a leader)というように誰にもリーダーシップを発揮する機会や必要性を求められてきてもいます。

そして、リーダーシップは教えられるものとして考えられてきています。

ぜひ、立場や役割によっては自分に制限をかけずに、自分らしいリーダーシップ能力を育て、思いっきり発揮してください。

3.リーダーシップとマネジメントに共通して大事なこと

ここまでいろいろと書いてきましたが、マネジメントもリーダーシップも人によって定義や理論、分類、重視する能力などは変わってきます。

実は、私はマネジメントとリーダーシップのそれぞれを厳密に定義し、その違いを明確にしていくことをあまり重視していません。

それよりもあなたがどんな目的を持って、どんな成果を創り出していくかの方が重要です。

「しっかり部下をマネジメントしろ!」、「リーダーなんだからもっとリーダーシップを発揮しろ!」と言っている側も期待しているのはあなたが創り出す成果です。

ここからは、マネジメントとリーダーシップに共通して 重要なことをいくつか紹介していきます。

(1)目的意識を持つこと

あなたは何のためにマネジメント能力やリーダーシップを発揮しようとしているのでしょうか?
与えられた目標を達成したい、会社や仲間に貢献したい、より大きな成果を得たい、自分の能力を発揮したい、他者に認められたい、キャリアアップを目指したいなど、様々な理由がそこにはあると思います。どれが正しくて、どれが間違っているということはありません。

大切なことは、あなたの価値観に沿っているか、あなたが人生の中で周囲にどんな影響を及ぼしたいか、どんな貢献をしていきたいか、どんな自分でそれを成し遂げていくかです。私はこうしたことを「人生の目的」とも呼んでいます。

自分の人生の目的を自覚し、それに沿った行動をしているとき、人は持てる能力を最大限に発揮し、想定外の成果を成し遂げるものです。

自分自身の人生の目的を自覚し、それに沿ってマネジメント能力やリーダーシップを発揮しましょう。

(2)状況を視て、聴いて、感じること

当たり前といえば当たり前ですが、マネジメントを行うにしろ、リーダーシップを発揮するにしろ、状況を把握することは大切です。状況把握に時間をかけすぎると適切なタイミングで行動を起こすことができなくなることもありますが、なにも状況を知らない中では、マネジメントもリーダーシップも空振りになってしまいます。
この状況把握のときに、現場を視たり、話しを聴いたり、数値データを確認したりするだけではなく、身体が感じることにも注意を払うことが大事です。

雰囲気が明るい、風通しがよい、空気が重い、なんとなく胸騒ぎがするなどの感覚的な情報も大きな意味を持ちます。これらを感じることは。持って生まれたあなたの大切な能力です。

(3)自分らしく、そして思いっきり行動すること

あまり意識されていないことですが、望む望まざるに関わらず、あなたはただそこに在るだけで何らかの影響を周囲に及ぼしています。そして、一番大きな影響を及ぼし周囲が魅せられるのは、あなたがあなたらしくいるときです。これは仕事であろうがプライベートであろうが関係なくそう言えます。
そして、そんな自分がマネジメント能力やリーダーシップを発揮したときに、その成果を最大化させるには、あなたが自分自身に100%の許可を与え、思いっきり行動することです。

(4)自分ひとりでやらずに周囲を巻き込むこと

あなたがどんなに優秀であろうと、あなた一人でできることには限りがある。しかし、あなたがマネジメント能力やリーダーシップを発揮し、他の人を巻き込んで何かを為すとしたらその可能性は計り知れません。

例えあなたが、口下手や人付き合いが下手、あるいは人に対して何かしらのコンプレックスを抱いていたとしても、それはマネージャーやリーダーとして乗り越えられる方法があります。

仮にあなたが、他人の能力を軽く視ていたり、自分の能力を過信していたりしたら、それはマネージャーやリーダーとしてのあなたの可能性を大きく狭めることになります。

あなたがどんな個性や能力の持ち主であっても、あなたが大いなる情熱を持って取り組んでいけば、あなたに巻き込まれ、賛同し、協力する人は必ず現れます。

ぜひ情熱を持ってマネジメント能力やリーダーシップを発揮し、多くの人を巻き込んであなたの目的を達成していきましょう。

(5)失敗してもやり続けること

変化が激しく、将来を見通せない不確実性の高い環境下では、いろいろな物事が複雑に絡み合っています。これをやれば必ずこの結果が得られる、ということも言いづらくなってきています。
こうした環境下では、精緻な分析に基づく綿密な計画もそのとおりには進まないことが往々にしてあります。情熱を持って取り組んだとしても簡単にうまくいくとは限りません。

大切なのは、失敗を恐れて行動せずにいることよりも行動してみること、失敗をしてもあきらめずにやり続けること、失敗から学んで次に活かすことです。

その姿勢や情熱は周囲の人の心も動かし、やがてはあなたのマネジメント能力やリーダーシップは大きな成果を生み出します。

4.まとめ

ここまではマネジメントとリーダーシップについて書いてきましたが、これらは読んで身につけるものではなく、経験しながら学ぶものです。そして、実践していくうちにマネジメント能力やリーダーシップを発揮していくのが楽しくなるはずです。それは自分だけではなく人を巻き込んで何かをすることで、これまでよりも楽に、そしてこれまで以上の成果が得られる体験になります。

もしあなたが冒頭のケースに置かれたとしたら、やらされてやる仕事ではなく、あなたの成長の機会、周囲への貢献、感謝と恩返しの機会としてとらえてみてはどうでしょうか。

その過程で自分の人生の目的を考えてみることで、あなたのこれからの人生はより生き生きと、より充実したものへと変わっていきます。

これまでとは違った視点、広い視野で物事を視たり、人の話を深く傾聴したり、身体感覚や直感を磨いたりすることで、あなたの目の前の世界は変わります。

あなたが自分らしさに目覚め、自分のマネジメント能力やリーダーシップを100%発揮しているとき、あなたは自分が想像する以上に魅力的な人間に変わっています。

生き生きとしたあなたが、状況に合わせて、思いっきりマネジメント能力やリーダーシップを発揮していけば、周囲の人は自ずと巻き込まれて行きます。

周囲の経営資源をマネジメントして成果を得る、リーダーシップを発揮して周囲の人をリードする。最初は簡単なことではないかもしれません。ただ、失敗してもあきらめずに取り組みことであなたは更に大きな人間へと成長していきます。

困ったときは、マネジメント研修やリーダーシップ研修に参加するのもいいでしょう。上司や同僚、友人や家族に相談してみるのもいいでしょう。あるいは、あなたの可能性を信じ、あなたの中から答えや行動と学習を引き出してくれるコーチをつけてもいいでしょう。

どのような過程を経るにしろ、あなたがあなたの持っている力を最大限に発揮し、世の中に必要な変化がもたらされることを期待しています。

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