ノーベル化学賞受賞・野依良治先生「科学技術は何処へ行くのか」

先週金曜日のことですが、2001年にノーベル化学賞を受賞された野依良治先生のご講演をお聴きしました。

演題は「科学技術は何処へ行くのか」

僕は理系学生だったので、興味が湧きました。

本会場は大阪だったので、サテライト会場で画面を通じての聴講ですが、いろいろと共感を感じながら聴いていました。

内容は専門的・学問的な科学技術のお話ではなく、野依先生の科学技術観、未来や次世代への期待という感じでした。

野依先生のお話をいくつかをシェアし、僕の考えも追記します。なお、言うまでもありませんが、僕の解釈が入るので、野依先生のお考えから離れる部分もあるかもしれませんが、ご容赦ください。
 
 
・科学技術を学ぶものは謙虚であらねばならない
・無知の知

野依先生は何度か「謙虚」と「無知の知」を繰り返されていました。きっと大事にされている信念なのでしょう。

僕が科学に期待したいのは、科学で解明できないものを否定するのではなく、それをいまだ未知のものとして好奇心を向けて解明していくこと。
 
 
・我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか(ゴーギャン)

ゴーギャンの晩年の大作のタイトルです。この問いは自然科学だけで解明するものではなく、哲学、宗教、形而上学など、人類のあらゆる知を活かして探究するべき偉大な問いですよね。

僕も興味ありです。
 
 
・科学技術は人類共通の資産

共感です。人類の到らなさ、間違った使い方により不幸を招いてしまうことがありますが、基本は人類共通の資産であり、人類の未来を創り、人類に夢を与えてくれ、科学の進歩は私たちの生活を大きく変えてくれます。
 
 
・科学の価値。科学研究とは果てしなく続く知の旅である。目的地への到達よりも様々な出会い、良い旅をすること自体に大きな意味がある。優れた研究は有為な人を育て、社会にも貢献する。

僕が学んだコーアクティブ・コーチングでもクライアントに「人生の目的」を探究していただきますが、それと相通じるものがあります。

人生の目的は、人生という旅の中で何かを成し遂げたり、どこかに到達することではない。

人生の旅を歩みながら、周囲に与えていく影響、その旅自体、その生き様自体に意味がある。

そう考えています。

なので、思わずウンウンと頷いていました。
 
 
・ノーベル賞は、独創性を格別に大事にする。人と違ったことをやることが求められる。
・日本の科学を先導された寺田寅彦先生、湯川秀樹先生、朝永振一郎先生などは文理の両面に精通されていた。

創造性を育むために、規格化・均質化した教育の排除すること、恵まれた環境は鋭い感覚の育成を阻む、広汎な文化的背景・文明・環境、異に出会うことも大事といったこともおっしゃられていました。

科学者には理性だけではなく感性も必要なんでしょうね。

教育界が果たす役割は重要です。
 
 
・科学的発見は設計できない。不確実性こそ科学者の心の拠りどころ。
・技術的発明は、綿密な計画とやり遂げる覚悟が必要。
・イノベーションとは、社会を変革する価値の創造。

不確実性に目を向けること、やり遂げる覚悟を持つこと、そして社会的な価値を知ることが、科学技術に携わられている方にはますます必要になっていくんでしょうね。
 
 
それから、技術革命の光と影にも言及されていました。

・コンラート・ローレンツの「文明化した人間の八つの大罪」
・人類の進化=自己家畜化現象

「文明化した人間の八つの大罪」とは、「人口過剰」、「生活空間の荒廃、「人間同士の競争」、「感性の衰微」、「遺伝的な頽廃」、「伝統の破壊」、「教化されやすさ」、「核兵器」のこと。

現代は矛盾内蔵型の社会である。我々は自らが惹き起こした変化を認識し、対処せねばならないが、全く責任を回避している、ともおっしゃっていました。

これは科学技術に携わられている方に限った話ではなく、世界市民たる僕ら全ての人類が肝に銘じなければならないところ。
 
 
・時代が必要とする知は何か(福沢諭吉)

世界を知り、そして謙虚さと無知の知をご存知で、物事を俯瞰される方だからこそ大事にされる問いなのでしょう。

これまでの科学は、平均寿命を45年に80年にし、人間の能力を「外的」に拡大し、巨大な経済効果を生み、・・・、などとその功績を称えられていました。

一方で、これからの時代が必要としている知は別のものなのかもしれないと感じられているのでしょうか。

僕は、人間の能力の「内的」な成長、そして経済効果以外の面への科学の貢献にも目を向けて欲しいと願っています。
 
 
・1999年 ブダペスト世界科学会議 科学と科学的知識の利用に関する世界宣言
  知識のための科学:進歩のための知識
  平和のための科学
  開発のための科学
  社会における科学と社会のための科学
・2013年 Gサイエンス学術会議 共同声明 持続可能な開発の促進:科学・技術・イノベーションの役割

他にもいろいろとお話されていましたが、メモと理解が追いつかず。。。
 
 
・叡智と努力と善意を注いできた科学技術が文明を壊すのは残念。
・人類は自らの愚かな行為で破滅に到る存在であってはならない。
・2020年の技術者:新世紀の技術のヴィジョン(全米工学アカデミー 2004)

「科学技術は、あまりにも長く成り行きまかせで、やむを得ない状況になってからはじめて変革してきた」

しかし

「消極的に明日起こることを待つならば、今日のさまざまな変化の速度は必ず私たちを危機に曝すことになる」

したがって

「技術者は最先端の技術をつくるだけでなく、産業経済界はじめ、非営利、政府機関等、あらゆるセクターのリーダーたるべく広範な教育を受けなければならない」

科学技術、そして全人類が何処へ行くのかを懸念されているご様子でした。

いまは、科学者だけでなく全人類が認識と責任を持ち、変革すべきときではないのでしょうか。

全人類がアメリカと同等の生活水準になるためには地球が5つ必要であり、日本と同じ生活水準になるとしても地球が3つ必要になる。

人類の未来を創り、人類に夢を与えてくれ、僕らの生活を変える力を持った科学技術に携わられる方には特に期待したいところです。
 
 
最後の方では、以前から提唱されていた「頭脳循環:老若男女の異才を集積してグッドミックス、 ネットワークをつくる」についてもお話されていました。

あらゆる研究分野から、あらゆる国・地域から、多様な社会セクターからなるグッドミックス、 ネットワーク。

それが人類の未来のためにも役立つことを願っています。
 
 
理化学研究所に関連する騒動があってから、野依先生も日本の科学に携われる様々な方々もいろいろと考えるところはあるのでしょう。

効率と経済に目を向けがちな時代に起きた事象です。
 
 
僕は、それでも人類の共通の資産である科学とそれに携わられている方々の善意と可能性を信じています。

それと同時に、経済効果のためだけではなく、自然との調和、社会と地球全体への貢献に向けて、自ら変革していくことを願っています。
 
 
そして、僕が行っている本質的変化を呼び起こすコーアクティブ・コーチング、関係性を正しくするシステム・コーチングは科学の変革にも役立つと確信しています。

周りで、科学技術に携わられている方、これからの科学技術が何処へ向かうのかを考えている方、ご自身の研究を更に高めたい方、ご自身の方向に悩んでいる方などがいたら教えてください。

謙虚さと無知の知を大事にしつつ、そうした方とお会いしていきたいと思います。

野依良治先生「科学技術は何処へ行くのか」

コメントを残す