生きづらさから脱却する言葉の力

前回の記事では、私たちが見ている現実が、実は自分だけの夢であるということ。

その夢の中で生きているときに、生まれてから現在までに社会によって自分の内面に作られてきた規則が私たちの内面の自由を妨げ、生きづらさを感じさせていることを書きました。

今回の記事では、そうした生きづらさから脱却するために役立つ言葉の使い方を紹介します。

言葉には力がある

生きづらさから脱却するために、まず意識的であったほうがいいことは言葉には力があるということです。

言葉は人を癒したり、勇気づけたりすることもできるし、悲しませたり、苦しませたりすることもできます。

言葉は人に影響を与え、変える力があります。

例えば、あなたのために苦手だが一生懸命に料理をしてくれた人がいる。その料理をとおしてその人にどんな言葉をかけるのか。

「一生懸命作ってくれて、ありがとう」と言葉をかけるのか、「ダメだな、こんな料理じゃ」と言葉をかけるのか。

「一生懸命作ってくれて、ありがとう」という言葉であれば、その人の中に喜びが生まれ、これからも料理をすることに対して前向きにもなるでしょう。

一方で「ダメだな、こんな料理じゃ」という言葉であれば、その人の中には苦しみや痛みなどが生まれ、これから料理をすることが苦痛であり、恐れにもなるでしょう。

これは家庭での料理に限らず、職場での仕事でも同じです。

あなたがどのようなあり方で言葉を使うか、どんな気持ちで言葉を使うかによって相手に影響を与えます。

それは他人に対してだけでなく、自分に対しても同じです。

人は内的な会話で「私は○○だ」と自分のことを評価しがちです。この自己評価は自分にとって一番強力に働きます。

そして、肯定的な言葉は自分に力を与えますが、否定的な言葉は自分から力を奪います。

「私はよくやった!」と自分に声をかければ自己肯定感は高まり、これからの力になるでしょう。

一方で「私はバカだ」と自分に声をかければ自己肯定感は下がり、この先に何かをすることを躊躇させるでしょう。

なかには反省、悔しさ、自分のいたらなさをバネに頑張る人もいるでしょう。

そうした人間の成長を目指す性質は尊敬に値するものですが、そうした性質は人それぞれで、必ずしも強い人ばかりではありませんし、無理を重ねれば無理が出ることもあります。

否定的な言葉よりも肯定的な言葉が役に立つのです。

また、脳科学では、人の脳の一部は一人称(私は○○だ)と二人称(あなたは○○だ)を区別しないという説があります。

あなたが目の前の人に向けて言った言葉は、脳の一部では自分自身に向けて言った言葉として受け取るようです。

「バカと言った方がバカ」というのは脳の中では当たり前に起こっているようです。

人の悪口、陰口を言っている人は、知らず知らずに自分自身に悪口、陰口を言っていて、自分自身を苦しめ、貶めているのと同じなのです。

言葉には力があります。どんな力をどのように使うかが他人や自分に影響を与えます。

あなたが使う言葉によって、他人や自分の中に苦しみや制限を課して生きづらさを生み出すのか、癒しや安らぎ、勇気などの生きる力を生み出すのかが変わります。

生きづらさから脱却するためにも、使う言葉に意識的であることはとても大切です。

言葉が変わるリフレーミング

生きづらさから脱却するために、次に「リフレーミング」という概念を紹介します。

「リフレーミング」とは、物事の見方を変えることです。

誰しも何かしらの物事を見るときに、あるフレーム(枠組み・視点・解釈)を通して見ています。

そのフレームを変えることで物事の捉え方、その意味を変えることがリフレーミングです。

そして、リフレーミングをすると使う言葉も変わります。

例えば、以前に何人かと一緒にあるプロジェクトに参加していたときのことです。僕はあえて一歩下がって他の人の様子を観察していました。

そうすると、他の人たちは僕ならするのが当然と思うことではなく、全く別のこと始めました。しかも僕にはそれはプロジェクトで課題となっていることの解決には役立たないことのようにも思えました。

そのときの僕に浮かんできた思いは「他のメンバーは何もわかっていない」「他のメンバーは本気でこのプロジェクトに取り組んでいない」といったもので、怒りや幻滅のようなものも感じるくらいでした。

その時の僕は「自分が正しい」「誰もが自分と同じ考え方をしているだろう」というフレームから見ていました。

あるとき、「全ては成長・進化の過程にある」というフレームからこの出来事を振り返る機会があり、そうすると「他のメンバーは一生懸命やっていたんだろう」と思え、「自分も成長途中だった」との気づき・学びを得て、これからどうするのかと考えられるようになりました。

このようにフレームを変えることで、起きた出来事は同じでも、それに対する捉え方、使う言葉は全く変わります。

そして、肯定的な力を持つ言葉を意識的に使うことができます。

また、日常で何気なく使っている言葉もリフレーミングでより肯定的な意味合いの言葉に言い換えることができます。

例えば次のようにリフレーミングできます。
  適当 → 融通が利く
  頑固 → 意志が強い
  あきらめが悪い → 粘り強い

こうすることで、自分や他人を肯定的なフレームでとらえることができます。

ぜひ、自分にとって役に立たないような出来事、意欲を妨げるような出来事、窮屈さや生きづらさを感じるような出来事にはリフレーミングをすることで脱却することができないかどうかお試しください。

なお、リフレームをしようとしても、自分があるフレームにはまっているときは他のフレームがあるとも思えなかったり、感情的な部分が妨げになって他のフレームに思いが及ばないこともあります。

そうしたときは第三者に相談するのがとても効果的です。

私自身も、物事を見る視点を変えるコーチングや、感情をしっかりと取り扱うコーチングによって、相談者の課題解決を支援していますが、とても効果的だと実感しています。

あなたが使った言葉で人は合意を結ぶ

例えば、あなたが誰かに「なんか元気がないな、きっと何かの病気だぞ」と言ったとします。もし相手があなたの言葉を信じて「自分は病気なんだ」と合意すると、その人はきっと実際に病気になるでしょう。

もしくは、あなたが自分の子どもに「女は前に出るべきではない」と言ったとします。その子がその言葉を信じてそれに合意をすれば、その合意は大人になってその子が自分の意見を言ったり、人に指示を出したりすることを妨げるでしょう。

あるいは「男は強く無ければいけない」と子どもの頃に言われた場合も同じです。その言葉に合すれば、大きくなっても自分の弱い部分を認められずに苦しんだり、自分を責めたりすることもあるでしょう。

このように人は周りから投げかけられた言葉に影響を受け、その言葉に合意すれば思い込みや信念といった内面にある規則になります。

あなたが他人に向けて使う言葉がその人に影響を与える。そう考えるとますます言葉の大切さが感じられます。

あなたが感じる生きづらさは、これまでに他の人があなたに投げかけた言葉にあなたが合意しているために生じていることがあります。

どのような言葉を使うのか、どのような言葉と合意するのか。

これは生きづらさから脱却する上で大切なことですね。

肯定的な言葉を使うこと

生きづらさから脱却する上で大切なのは肯定的な言葉を使うことです。

あなたは言葉によって力を生み出しています。

あなたが意図していることが言葉となって周囲に届きます。

自分や他人に生きづらさを感じさせ、痛みや苦しみを生み出すような言葉を使うのか、自分や他人を生きづらさから脱却させ、歓びや安らぎを産み出すような言葉を使うのか。それはあなたの選択です。

肯定的な言葉は自分を裏切らない言葉でもあります。

人は誰でもそのときそのときのベストな言動、精一杯の言動をしています。

あなた自身もそうです。

その自分を責めたり、非難したり、裁いたりするような言葉を自分自身に使ったり、他人から受け取った言葉に合意したりすることがあなたが生きづらさ感じるもとになります。

例え身近な人があなたに対して「お前はバカだな」と言ったとしても、それはその人の思い込みでしかありません。

あなたは「お前はバカだな」という言葉に合意する必要はありません。
自分自身い対して「私はバカなんだ」という自分を裏切る言葉を使う必要もありません。

自分や他人に対して肯定的な言葉を使っていれば、あなたは日常の中で穏やかさや安心を感じられます。

生きづらさから脱却するために、慈愛や思いやりのある肯定的な言葉をお使いください。

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